シャクルトンベース 〜建築物マジョリティとワーカーの活用が面白いボードゲーム〜

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月の南極にあるクレーター、シャクルトンクレーターでの基地建設をテーマにした重量級ワーカープレイスメントゲームの”シャクルトンベース:月への旅”。用いる3つの企業によって、ゲームの味付けが大胆に変わりそうな仕掛けにグッとくるボードゲームです。

ワーカーの色に意味があるワカプレで、色をマッチさせるとアクションにボーナスが発生する。アクションスペースには後からでもワーカーを入れることが出来るが、コスト負担が増えていくタイプ。この作品もまた、どこにどのワーカーをどのタイミングで配置できれば良いか悩ましい。

そして、月面開発に関わってくる7つの企業の存在。ゲーム毎に3つの企業が登場するが、それぞれが独自の仕掛けをもたらしてくれる。ある企業はリソースマネジメントを、また別な企業はピック&デリバリーを、報酬の早取り要素などをゲームに加えてくれて、どんなプレイ体験になるのかワクワクさせてくれる。

SFテーマ好きには堪らない作品の “シャクルトンベース:月への旅” のプレイログをまとめてみました。

ゲーム概要

👥プレイ可能人数:1~4人 🕐プレイ時間:60~120分

ゲームの目的と準備

目的

ゲームの目的は、3ラウンドの間に月面にワーカーを配置しながら、基地建設や企業プロジェクトへ投資をしつつ勝利点を稼いでいくこと。誰よりも勝利点を稼ぐことができれば、月面開発を制したプレイヤーになって勝利です。

準備

①全体の準備

メインボードをテーブル中央に置き、太陽電池パネルやエネルギーマーカーをボード上に配置します。

宇宙飛行士駒、チタン、希土類元素、クレジットはそれぞれまとめてサプライにします。

シャトルタイルを裏面の番号毎に分けてよく混ぜて、個々の山を作っておきます。

②企業の準備

今回のゲームに使う3つの企業を選びます。各企業にはリファレンスシートがあり、その記載に則って準備します。

③プレイヤーの準備

各プレイヤーは1色選び、その色の内容物とプレイヤーボード(これが自分の “基地” となります)を受け取ります。自分の基地の上に、それぞれ対応する建造物タイルやマーカーを配置します。

ランダムにスタートプレイヤーを決めます。スタートプレイヤーから時計周りに、ゲームボード上の手番順トラックに左詰めで手番順マーカーを置いていきます。

手番順に、①機関リーダータイルの獲得、②基地上の左端のドームを、メインボード上の6つの中央区域のうち一つに配置、③その区域に太陽電池パネルを1枚配置、④その区域に接している企業トークンを1枚発動させます。

ゲームの流れ

プレイヤーは3ラウンドにわたって、ゲームをプレイします。各ラウンドは3フェイズに分かれています。

  • シャトルフェイズ
  • アクションフェイズ
  • 維持フェイズ

シャトルフェイズ

現在のラウンドの山から、プレイ人数+1枚のシャトルタイルを公開します。手番順とは逆順で、シャトルタイル1枚を選んでいき、そこに記された宇宙飛行士駒と資源をサプライから入手します。

全プレイヤーがシャトルタイルを選んだら、シャトルタイルの番号が小さい順に手番順が調整されます。余ったシャトルタイルは、メインボード上の”ルナ・ゲートウェイ”近くにおいて、そのタイル記された宇宙飛行士駒を”ルナ・ゲートウェイ”に配置します。

アクションフェイズ

各プレイヤーは手番順に、宇宙飛行士コマを1個おいて、アクションを1つ実行します。各ラウンドごとに6回、ゲーム全体で18回のアクションを行うことになります。アクションは大きく3種あります。

  • クレーターの開拓
  • 3つの指令アクションのうち1つの実行
  • ルナ・ゲートウェイの訪問
クレーターの開拓

クレーター外周に配置した宇宙飛行士コマの種類に応じた効果が発動します。技術者コマを配置すれば資源を得て、技能者コマを配置すればクレジットを得て、科学者コマを配置すれば企業トークンが発動します。

3つの指令アクションのうち1つの実行

どの宇宙飛行士コマでも下記のアクションを発動させられます。しかし、置いた宇宙飛行士コマと指令アクションが一致していれば、それぞれに対応したボーナスを受けることができます。

  • 建造物の建設:必要なコストを支払ってメインボード上に建造物を建築します。
  • プロジェクトへの投資:登場している任意の企業のプロジェクト1つに投資を行います。
  • 3回までの企業アクションの実行:登場する企業に設定された、固有のアクションを実行できます。
ルナ・ゲートウェイの訪問

ルナ・ゲートウェイに宇宙飛行士コマを一つ置き、代わりに3クレジットを得て、ルナ・ゲートウェイに待機する宇宙飛行士コマ一つを自分の基地に回収します。その後、企業アクションを1回実行します。

維持フェイズ

①企業の維持

3つの企業、それぞれ企業シート上に示された維持ステップを(もしあれば)解決します。

②クレーターからの宇宙飛行士の回収

メインボード上のクレーターに配置した宇宙飛行士コマを自分の基地に回収することができます。クレーター外周を時計回りで、その宇宙飛行士コマが向いているラインにある建造物のサイズの合計が最も大きいプレイヤーは、その宇宙飛行士コマを得て、自分の基地の建造物空きスロットに配置します。

③収入の獲得

手番順に各プレイヤーは以下の順番で収入が得られます。

1. プレイヤーは企業から得ることが出来る収入があれば、その収入を得られます。

2. ドームの空きスロットにワーカーを回収出来ていると①技術者1個ごとにチタンを1つ、②技能士1個ごとに3クレジット、③科学者1個ごとに2勝利点が得られます。

3. 本部の空きスロットにワーカーを回収できていると、宇宙飛行士コマ1個ごとに1名声が得られます。

④維持コストの支払い

クレーターに建造している施設及び名声トラックに応じて、必要量のクレジットを維持コストとして支払います。

⑤宇宙飛行士駒の整理

指令アクションエリアにある全ての宇宙飛行士コマをサプライに戻します。

ゲームの終了

ラウンド3の維持フェイズが終わったあと、最終得点計算を行なって勝者を決めます。得点要素は以下の4つ。

①投資したプロジェクトカードの勝利点

②研究所に回収した宇宙飛行士コマによる勝利点

③名声レベルと等しい勝利点

④3つの企業、それぞれから得ることが出来る勝利点

プレイログ

ゲムマ2025秋で自分が1番に狙っていたシャクルトンベース。月面の基地開発を競うというSFテーマに心がグッと掴まれていた。様々な要素があって、ゲームを遊ぶたびに色んな展開が生まれるリプレイ性が高いゲームが、自分はとても好きです。重量級ワカプレで、ゲームに出てくる3つの企業で味付けが大きく変化するのが特徴のこの作品を、早速遊ぶことができたので初プレイの記録を残したいと思います。

いつも様々なボードゲームを一緒に遊んでいただいている方と3人対戦。今回のゲームに使うのは、マニュアルで初回プレイに推奨される3つの企業、①セレニウム・リサーチ②アルテミス・ツアーズ③ムーン・マイニング。①セレニウムは企業固有リソースのリソースマネジメント、②アルテミス社は観光客のピック&デリバリーライク、③ムーン社はリワードの早取り、をそれぞれ特徴にしている印象を覚えた。

セットアップを完了させて、いざゲーム開始。BGG Weight 3.88(25/12/7時点)は伊達ではなく、どんな戦略でプレイすれば良いのか検討がつけられない。自分の機関リーダーは日本、プロジェクト投資のクレジット負担を減らしてくれる。自分は初期配置で、”セレニウム社” の恩恵を受けやすい場所にドームを建てた。一旦、この企業の固有リソースの活用方法を模索しながらプレイを進めてみる。ドームの初期配置によって、どの企業の恩恵を受けやすいかが分かり、それをプレイ指針の一つにできるのは助かる

企業トークンを発動させ、セレニウム社の固有リソースを獲得しつつ、セレニウム社専用タイル(以下、実験タイル)に変換。実験タイルは、一定の固有リソースを支払って獲得することで、収入強化や一部の建造物の無償建造ができる。自分は実験タイルで1チタンの収入をゲット。またプロジェクト投資で、特定の固有リソースがあれば、その分だけプロジェクト投資のコストを下げるものを手にしてみた。

手探りしながら1ラウンド目のアクションフェイズが終了。今後の戦略を考えてみる。セレニウム社の企業トークンを盤面に展開し、科学者のクレーター開拓で一気に固有リソース集める。そして、実験タイルと引き換えてゲームを有利に進める。企業トークンを置いていくと、その企業のプロジェクト投資の負担が増すのだが、そこは機関リーダーとプロジェクトカードの効果でカバーする。これでいってみよう。

第2ラウンド始まって程なく、本部を建設したプレイヤーが現れた。手元の基地で6マス空くのが羨ましい。ワーカーを回収した時の受け皿が一気に広がっていた。自分もクレーターに本部を建設したかったが、コストを捻出できず断念。

本部の建設は一旦断念して、研究所を配置。盤面上のマジョリティで、技術者を回収できる見込みが立っていた。上手く回収して、研究所の空きスロットに配置して勝利点を狙いたい。ここらへんで、自分のプレイミスに薄々気づいてきた。プロジェクト投資が思ったようにできていない。プロジェクト投資のクレジットコストは確かに抑えている。しかし、電力条件の方が足枷になって実行ができない。第2ラウンドも終わる間際、工場を建設して、技能者を回収してプロジェクト投資条件の緩和を狙う。

第2ラウンドのアクションフェイズも終了、1手1手に悩む時間と3人プレイのダウンタイムが良いバランスで、あっという間にゲームが進行していた。もう1人にプレイヤーも本部を建設。こうなると維持フェイズで、ワーカーの回収がますます出来なくなる。だが、自分は色々な場所に建造物を散らしていたからか、場所を選べばワーカー回収は出来そう。

第3ラウンドが始まったが、ここからは詰め作業だ。これまでやってきたことを、どうすれば勝利点に変換できるか考えていく。勝利点トラックは、正直言って厳しい状況であった。他のプレイヤーは、それぞれのプレイ方針に則って勝利点を稼いでいた。それに対して、自分は確かまだ8か9点くらいしか持っていなかった。残り6体のワーカーでこの差を埋めなくてはいけない。

このラウンドで狙ったのは、①実験タイルを3枚集めきって、最大勝利点の企業目標を達成すること。②2つ目の研究所空きスロットに、科学者を回収することの2つ。クレーターはかなり開発が進んでいたので、科学者でクレーター開拓して、一気にセレニウム社の固有リソースを集められた。不足分はプロジェクト投資&ボーナスで補い、3つの実験タイルを無事に回収できた。科学者コマ回収のために必要なクレーターのマジョリティは押さえていたので、科学者コマを自分の基地に回収する目処もたった。

勝利点のビハインドを取り戻せるかは自信がない。だけど、ワーカーを上手く活用して、勝ち筋をあれこれ考えるのが面白い。ワカプレの醍醐味のあの場所が取られないかヒヤヒヤしながら見守りつつ、それを乗り越えて狙いのアクションを実行、それで勝ち筋を繋いでいくドキドキ感。この作品もしっかりと味わせてくれる。

第3ラウンドが終わって得点計算。何とかプレイヤーの1人はまくることができて86点で2位。ゲーム終了時の得点で一気に追い上げられたのが気持ち良い。セレニウム社はゲーム中に入手できる勝利点は少なく、第3ラウンドで実験タイルを集めて、ゲーム終了時に一気に得点を稼ぐのが企業個性なのかな。1回目のプレイなので、まだ分からないけどセレニウム社が期待することに、ある程度は即してプレイ出来た気がする。

今回のゲーム、1位のプレイヤーはムーンマイニング社を軸にしてプレイされていた。序盤から終盤にかけて、プロジェクト投資で強力にタブロビルドしていた。プロジェクトカードの常時能力でかなり効率的にゲームを運んでいた。その差は広がるに広がり、ゲーム終了時には50点も差がついてしまっていた。どこかで何かしらカットしないといけなかったなと反省。これは是非リベンジさせてもらいたい。

あとがき

シャクルトン・ベース、BGG Weightに違わない濃厚なゲーム体験が得られる作品でした。ここでは、ワーカープレイスメントの仕掛けについて、自分なりに振り返ってみたいと思います。

自分はワカプレと聞けば、”アグリコラ” のようなアクションスペースの内容や強弱がある程度固定されているもの(あるスペースに入れば木材をX個手にする、あるスペースでは建築が実行できる、そして後半ラウンドになればより強いアクションが出てくるように設定されている)を想像します。

今回の “シャクルトンベース” は、自身が抱くワカプレの様相とは違ったものでした。このゲーム、クレーターの開拓状況によって、アクション強度が流動的に変化していきます。自分が恩恵を受けるスペースであったはずが、クレーター上のマジョリティが変化していくことで、自分に不利なスペースになることがあります。ワカプレに対して、”そのアクションスペースは他プレイヤーにどのタイミングで入られてしまうか” だけでなく、どうすればそのアクションスペースを自分に有利なものにしておけるか、を考えさせられました。ゲーム中に意識しだしたのは中盤くらいでしたが、ゲームの着地点を描いて計画的にアクションスペースを自分に都合が良くなるよう働きかけていく取り組みは、自分にとって新鮮な体験でした。

要素は複雑で1回の説明だけで、戦略を考えることは簡単でないと思います。しかし、実際に手を動かし始めれば、ワーカーの挙動を掴んでシステムの面白さに気づき、あれこれ試してみたくなってきます。自分もまだまだ遊びたりません。この作品を遊ばれた方のプレイ報告もみつつ、もっと魅力に気づいていければと思います。

タカ | ボードゲームブロガー

✔︎ 良いゲーム体験をさせてくれたもの、きらりと光る魅力があるもの、プレイログとして発信したいと思います。
✔︎ 初めてのボードゲームを知っていただくキッカケや過去のプレイ体験を思い出すキッカケになれますように。

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